ナオト・インティライミをめぐって

 うえだ君が更新する気配がないから、明け方の頭をひねりつぶして、いや、つぶしちゃだめだ、なんかこういい感じにスクイーズして、思いつくまま、ナオト・インティライミあたりについて書いてみようと思う。
 で、最初に断っておきたいが、僕はナオト・インティライミさんの曲を一度も聞いたことがない。ついさっき、なんとなく名前は知っていたから検索をかけてみたら、いっぱい出てきた。ナオトが。ナオトの、インティライミな部分が。ぞくぞくと。で、そこではじめて「歌手なんだ」と知った。
 そこで、どうだろう、今回はナオトの、こう、インティライミな部分を、というか、ナオトをインティライミたらしめているはずの何物かに、ナオトのウィキペディアを精読しながら、じっくり迫っていく、というのはいかがだろうか。

 やめとこうか。

 ということで、今日はせっかくなので(なにが「せっかく」なのか分からないけど)うえだ君のことを書こう。ウエダ・インティライミのことを。
 うえだ君が14日に書いてくれた『夢のあとに』を読んで、たしかにうえだ君は、高校時代、とにかくよく寝ていたなあと思った。僕とうえだ君は、寮の部屋が細い廊下を挟んで真向かいにあって、すりガラス越しにお互いのシルエットが部屋の外からも常時わかるありさまで、まあ、ほぼプライバシーも皆無な二年間を共に過ごした仲である。で、寮の消灯は24時きっかりなのだが、うえだ君はそれより早い時間によく部屋を真っ暗にして眠っていた。うえだ君の部屋に訪問してきた友人が、わざわざ僕の部屋に来て「うえだの部屋、暗いけど、あいつ寝てるの?」と聞いてくることがよくあった。寝ては起き、勉強し、また寝て、起きて、勉強して、それがうえだ君の日常であったように思う。いや、そのあいだにたごもりが遊びに来る時間とかあったから、彼のライフスタイルは、寝て、起きて、勉強、たごもり、寝て、起きて、勉強、たごもり、てな具合だったのだろう。楽しかったよね。
 ある夜、なぜかうえだ君が京都のるるぶ的な旅行ガイドを持っていて、それに出てくる食べ物の金額の部分を僕が指で隠して「これ、いくらだと思う?」と問題を出す遊びをやっていたときのことだ。はじめのうちは「けっこう高そうな店だから2000円」とか「抹茶ソースがたくさん掛ってるから1200円」とか楽しげに応答してくれていたうえだ君だったが、二十分くらい続けていると「飽きたからもうやめよう」と言い始めた。それでも僕が「これいくら」「これいくら」と問題を出し続けると、ここがうえだ君の面白いところなのだが、ものすごく嫌そうな顔をして、キレながらも「1000円!!」とか「600円!!」とか、律儀に答えてくれるのである。僕はそんなうえだ君を見ていて楽しくなってきて、「勉強するから出て行ってくれ」と懇願するうえだ君を無視して問題を出し続けた。もう、うえだ君、半泣きである。半泣きで、「900円!!」「二万五千円!!」答え続けるのである。その時、ああ、この人、いい人なんだなって、思った。そして、そんなに嫌なら答えなければいいのに、とも思った。思いながら、問題を出し続けた。最後どうなったのか覚えてないけれど、なにか恐ろしいことが起きて僕の記憶から事の顛末だけが抹消されたのかもしれない。

 あ、ナオト・インティライミの話をしようと思って始めたのに、ずっとウエダ・インティライミの話をしてしまった。ごめん、うえだ君。でも、うえだ君がついに投稿を落としたから、今日くらいうえだ君のこと、書いてもいいよね。