大天才展

 年末に、自宅で、一人きりの「大天才展」を開催しようと企画していて、自分の天才さを自分だけに向けて発表・展覧するという究極のナルシシズムイベントなんですが、誰か観覧希望の方はいらっしゃいますか? まあ、僕としては誰も来ないのにやるってところに意味があるんですけど、どうしても僕の天才さを垣間見たいという方がいらっしゃれば、特別にご来場の手配をしないでもないですよ。


 こういうことばかり言ってるから、頭のおかしい人だと思われるのだ。

 でもさ、まったくみんな、「大人の言うこと」とか「社会的権威」とかいうものにはガンガンいちゃもん付けて「とりあえず疑ってかかれ」みたいなノリなのに、「中二病」や「ナルシシズム」みたいなものには極端に距離をとって馬鹿笑いすることしかできないでしょう。そこのところの、今の二十歳前後の若者に通底している「危うさ」「脆さ」みたいなものを逆手にとって弄んでみた先に、われわれの世代が抱える大きな闇が見えてくるのではないか、と言いたいのである。

 言いたくねえよ。

 ごめん、すねてる。ひねくれてる。

 昨夜、フェイスブックを見ていたら、アメリカに長期留学している知人が、むこうで起きたことや感じたことを日々綴っているブログを見つけてしまって、で、僕はこのブログに誇りと自信を持って書いているし、共同執筆者のうえだ君はもちろん、これを好きで読んでいる人たちもわりと天才の部類に入ると本気で思っているのだが、やっぱり、むこうの文章の「明るさ」「陽気さ」「気立てのよさ」「日々成長してるっぽさ」「友だちのいさ」「英語ペラペラさ」「朝食のシリアル率」「地球はひとつっぽさ」「NASA」みたいなものの前でガックシと膝をついてしまったのでありました。

 てか、その人、友達から削除したし。

 ほんと、勝手ですよね。少しでも気に入らないことがあると、フェイスブックはすぐ友達から削除するし、ツイッターはフォロー外すし、メールや電話は着信拒否するし。でも、小さな声で主張させてもらえるとありがたいのですが、気に入らない情報や、そうじゃなくても無為な情報は、なるべく削除していきたいのです、目の前から。僕は、人より200倍くらい、他人からの影響を受けやすい人間なので(カリフォルニア大学調べ)、見るもの、読むもの、聞くもの、すべて自分にとってプラスになるもので統一したいのですね。なかなかそうはいかないのは分かってるんだけど、せめてネットの世界くらいは。まあ、自分にとって都合のいいことだけじゃなく、自分を揺るがしてくれるっていうものも含めて、自分にプラス、ってことなんですけど。だからその辺の線引きが楽なほうにいかないように、しっかりして考えていかなきゃな、とも思いますけどね。
 で、僕が自分のことを芸術家だと思っているのも、これに起因するところはあるんですけど、たとえば僕が「芸術家」って言ったときにその対岸に想定している「批評家」っていうのは、いろんなタイプの思想を横断できる人たちではないか、と思うんですね。文章を読むにしても、自分が面白くないと思うものについてもしっかりと読み込んで、読み解いていく。で、自分という存在をそれから受ける影響とは遠く離れたところに置きつつ、一定の評価を下す、っていう。それをしっかりできる人が、優れた「批評家」だと思うんです。そういう意味では、天才的な「批評家」っていうのも存在できるのですね。でも、僕は、もう圧倒的にそういうことができない人間で、何を読んでも、見ても、聞いても、ただ「影響を受ける」ことしかできない気がしていて。そうじゃなかったら、つまり「こういうものには影響を受けたくない」と思ったら、初めから、あるいは途中で拒絶する、っていう。まあ極端な話なんですけど、要するに「受け流せない」性格だなあと、思っているのです。そして、恥ずかしながら、これからもそうでありたい、とも。だから、まあ、そういう人間を自分のなかでどう呼んでいこうか、と考えた時に、こういう生きづらさを背負っている宿命だ、という悲劇の主人公的な見方も含めてなかば自虐的に「芸術家」と称してみようか、と。こう書いているうちに気付いたんですけど、僕のような「芸術家批評家二分論」でいくと結局は半々くらいかもしれないですね、芸術家の人間と批評家の人間は。で、まあ、僕がどうして天才を自称しているか、というのは、単に流行り(別に僕だけのじゃなくて、赤塚不二夫とか最近では会田誠とかアートの世界の)ということもあって、面白がってるだけなんですけど。でも、この面白がり期間に便乗して自分の天才さを何か今後も揺るぎないものとして発見出来たらそれはそれで幸せだなあ、とも思っています。だからまあ、ありがたいことにまだ学生だし、年末に向けて「大天才展」を、っていう、今日の話の最初の部分に戻るんですけど。

 ごめん、書き始めからお酒飲み始めて、酔っ払いながら書いちゃった。おやすみなさい。